ミツモンキンウワバとイチジクキンウワバ
(Ctenoplusia agnata & Chrysodeixis eriosoma)

ミツモンキンウワバ(写真左) (cat.4163) 05.7.29 神奈川県海老名市
ニンジン、ゴボウ、ダイズ等を食害することから、畑のそばなどで採集されることが多い。寒冷地を除き、全国的に普通種。発生期は7月中旬〜10月頃で、8・9月に多い。私は11月にも採集している。前翅の中央付近にある銀紋は安定していて大きな変異はない。
イチジクキンウワバ(写真右) オス(cat.4165) 05.8.8 神奈川県相模原市
ミツモンキンウワバと食草が似ており、しばしば同時に採集されるため、誤同定がおきやすい。発生期も同様にミツモンキンウワバと同じく7月〜10月に発生する。普通種である。前翅の中央付近にある銀紋は若干変異があり、2つの紋がくっついてしまう個体もいる。♂交尾器の形態により、ミツモンキンウワバとは別属とされているが、斑紋は酷似している。このほかにホソバネキンウワバという近似種がいるが、産出量は少なく、関東では稀である。
標本比較
[前翅]
- 赤線で示した前翅外横線が、後縁付近でミツモンでは強く内側へ突出した後、外側へ曲がる。イチジクでは突出も弱く、ミツモンとは逆に内側に曲がる。
- 青矢印で示した銀紋はイチジクのほうが発達する。
- 緑色で示した内横線と亜基線がミツモンは内縁で重なり、「v」字になる傾向がある。イチジクは内縁では重ならず、台形になる傾向にある。
- 紫矢印で示した、内横線の内縁付近がミツモンでは黒色鱗粉に挟まれる。イチジクにはそれがない。
[胸背の毛]
黄色で囲ったように、イチジクには黄褐色の毛があるが、ミツモンにはない。
[開張]
ミツモンキンウワバ 27mm〜32mm。イチジクキンウワバ 30mm〜35mm。
イチジクのほうが少し大きめの個体が多い。
[体色]
翅を含め、全体的にミツモンは紫、または黒褐色の印象を受け、イチジクはそれより褐色な印象。
参考

イチジクキンウワバ オス
(銀紋の繋がった個体)
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