2005年夏北海道採集報告書
柳田慶浩、中尾健一郎
柳田、中尾は2005年7月29日より8月3日まで、北海道東部で採集を行った。採集された蛾の標本に基づいた報告は柳田氏より公式に発表されますが、その際、中尾が撮影した蛾の画像の内、柳田氏により同定頂いた種および、中尾の独自の判断の基、同定が可能であった種についてこのサイトを使い、報告します。メイガ、ハマキガその他のいわゆるミクロ蛾については、鈴木隆之氏の「みんなで作る日本産蛾類大図鑑」のサイトの掲示板でご専門の方々より同定いただいていること感謝いたします。また、北海道の採集に際しては小林秀樹氏に7/30日に同行いただき、採集ポイントなどについてお教えいただくとともに、最近、北海道、浅茅野で採集されたApamea monoglyphaについてご教示、同定いただきましたことこの場を借りて感謝いたします。
このようなWebを使った採集報告書の意義については議論あることと思います。もちろん、紙ベースの文献への報告書が正式なものとして評価されるべきでしょうが、即時性、修正可能、閲覧容易、大量の画像添付が可能であるなど、「紙」にはないメリットもあるのではないかと考えます。
なお、この報告書のデーターについては鈴木隆之氏のサーバーにアップさせていただきました。
日時 場所場所 地図
7月29日 浜中町琵琶瀬
海抜0m
今回の北海道遠征の初日。まず湿原の蛾を狙おうということで、霧多布へ、湿原のPA周辺には車で入れる道がいくつかあり、両側を林で挟まれた、湿原でナイターを行う。点燈前に、両側の林の中に入ると、左右に振り子のように飛ぶ小型の蛾を発見。ただのキンスジコウモリだったが、多数の個体を採集。湿原特有の蛾が多数飛来することを期待したが、スジコヤガが多少飛来したのみ。エゾコエビガラスズメは多数。
7月30日 知床峠
海抜730m
:知床峠の駐車場、周囲はハイマツ帯、シレトコツメヨトウの生息可能性あるガレ場からは遠い。単調な樹相の割には、Apameaの未記録種を含めて意外に多種類の蛾が飛来した。
知床大橋付近
海抜200m
ガレ場を狙い、洞門のコンクリート屋根上、とその入り口付近にライトトラップをセット。期待に反し、岩場の蛾は全く飛来せず、北海道平地の普通種が殆ど。夕刻、付近でキンスジコウモリ多数飛ぶ。
7月31日
斜里、以久科原生花園
海抜5m
A:斜里の以久科原生花園、小清水の原生花園は観光地、止別付近の原生花園入り口は閉鎖されており車が進入できず、斜里に移動。海岸沿いの内陸側、海側の2つの砂丘に挟まれた原生花園で駐車場ありアクセス容易。ナトリウム灯が1つあるが、影響なし。林はカシワ、ミズナラ等の混生林で、林・草地の両方の蛾を狙える。地図によるとさらに東に移動した場所に、川沿いに海岸までの進入路あり、閉鎖されていなければさらに良い場所かもしれない。
8月1日 大雪山銀泉台
海抜1430m
予定では浅茅野まで足を伸ばすはずだったが、斜里からはあまりに遠く、紋別付近の湿性の原生花園を探す。 南の小向原生花園、北のオムサロ原生花園が良さそうだということになり、紋別市内で昼食。その際、新聞の天気予報によると、明日は雨の確率80%であること知り、予定を変更し、銀泉台へ急遽移動。まず、第一花園を見上げる、銀泉台手前の場所でライトをセット。蛾の飛来数は雨の前日であり極めて多い。ただし、種類数は少なく単調。
銀泉台への林道
海抜870m
11時頃、チョウセンエグリシャチホコを狙って、ふもとの林道との分岐点に移動。こちらの方が種数が多い。ただ、期待した種類は何も飛来せず。
8月.2日 紋別、オムサロ原生花園
海抜0m
大雪山の銀泉台から北上し、海岸湿地での蛾を再度狙う。オムサロ原生花園のビジターセンターが道路沿いにあるが、照明はナトリウム灯であり影響なし。遺跡公園のある台地の上はカシワ林、その下に沼地が点在する湿地。植物相は豊かなようで成果を期待。クビグロクチバ類を始め蛾の種類数はまずまず。遠征の最終日であり、11時に消灯して、滝上道の駅に移動。昼間に、昨晩の残りの蛾が多数いたので期待したが、狙いは外れず、雷雨にもかかわらず、面白い採集を行えた。
道の駅滝上
海抜100m
最近建設されたと思われる道の駅。3階部分のドーム状の屋根を水銀灯でライトアップしており、これに極めて多数の蛾が飛来している。夜間は3階には上がれないので、玄関の水銀灯にこぼれてきた蛾を狙うことになる。当日、激しい雷雨であり天候が良いとは言えないが、それでも多種の蛾を採集すること可能だった。
撮影種リスト