Species name

Eligma narcissus (Cramer, 1775)
narcissus narcissus (Cramer, 1775) シンジュキノカワガ[日本亜種],Cat.3971

Phalaena (Bombyx) narcissus Vramer, 1775
Eligma narcissus indica Rothshild, 1896
Eligma narcissus javanica Rothschild, 1896
Eligma narcissus philippinensis Rothschild, 1896
Eligma narcissus celebens Tams, 1935
Geographical range Oriental tropics and subtropics
Eligma はアフリカ, マダガスカル, アジア, オーストラリアの亜熱帯に約5種が分布するが, アジアでは本種1種によって代表される. 本種の原名亜種は中国の南部から東北部までを主たる分布域とするもので, 台湾にも産し, 朝鮮にも発見例がある. 文献上では1909年に熊本市に発生した記録が最古のものである. その後の記録を追跡してみると, 北海道札幌市(1950), 函館市(1967), 青森県弘前市(1952), 岩手県北上市(1950), 新潟市(1952), 長野県上田市(1959), 松本市(1964), 群馬県鹿沢温泉(1963), 山梨県甲府市(1964)など, 東日本でも散発的な採集例があり, 近畿, 中国, 四国地方の諸県でも同様であるが, もっとも発生頻度の高いのは福岡県を中心とする九州北部で, 時に連年幼虫の発生を見ることが報告されている. narcissus は, インド南部, ジャワ, ミンダナオ, スラウェシに別亜種が命名され, 前翅または後翅の斑紋に一定の差異があるとされる. インドを除くとその産出はかなり孤立的なもののようで, 本種が普遍的に東南アジアに広域分布することを示すものではない.
Distribution map
Biology 幼虫の食樹はシンジュなどAilanthus 属の植物(ニガキ科)に限定されると思われる. この属の植物は日本に自生品はなく今日各地で野生化しているシンジュは1875年ごろに移入されたものとされているので, この蛾も2次的に日本に入ったものと推定される. マユは樹幹上に作られ, Gadirtha 同様の手段によって発音する. 本種の渡来源, 定着性ないし定着域, 周年経過等なお未解明の点は多い.しかし, 中国にひろい分布圏をもつ原名亜種が, 朝鮮あるいは日本に波及したことは疑いなく, その性格はおそらく陽性の暖温帯2次林的である. シンジュがひろく日本に半野生化した現在では, 本種は九州北部を中心として, 不安定な橋頭塗を確保している可能性があるが, 現在に至るまでしばしば記録される本種の意外な拡散に対しては有効な説明がない. 
Flying season この蛾の採集されるのは7-l1月(特に9月)に多く, 幼虫が発生する場合も, およそこの時期に羽化が行われ, 蛹で休眠することはない. しかし福岡県大牟田市および対馬では, 3月に成虫が発見された例があり, 本種の越冬態様を暗示するものとして理解されている.
Japan
Sulawesi
Indonesia
Japan
Philippine
Thailand
References The moths of Borneo Part 18, by JD. Holloway, page 231